奇想画その16:スフインクスの謎掛け
Sphinx
アポローンの神託を聞いたオイデープスは驚き恐れ、彼が自分の国だと思っているコリントスには帰ることなく、宛もなく乗ってきた戦車を走らせます。
ある狭い山の三叉路に差し掛かったとき、前方からも戦車に乗り、供を連れた老人がやってくるのにかち合いました。
道を譲ることに関して諍いが生じ、老人が怒って鞭でオイデープスを打ち、反撃したオイデープスのために車毎谷に落ちて死んでしまいます。
オイデープスは山を下りて麓の都市に入りましたが、そこでは大騒ぎが起こっていました。
山賊が出て王を殺した、と言うのです。
そのうえ此の都では魔物が出て民を苦しめていました。
それはスフインクスという人面獣身の怪物で、山道で通行人を捉え、謎かけをして正解をしなかったら捉えて食ってしまう、と言う災難でした。
そのことを聞いたオイデープスはその山へ行き、スフインクスに対峙します。
スフインクスが問いかけてきた謎とは、こういったものでした。
「朝には四本足で歩き、昼は二本足で、そして夕には三本足で歩くものは何か」
オイデープスは答え、正解を聞いたスフインクスは自ら谷に身を投げて死にました。
こうして此の国の難儀を救ったオイデープスは乞われて王となり、残された王妃イオカステーと結婚することになります。
此の国がテーバイであり、殺された王の名がラーイオスであったことは、云うまでもありません。
オイデープスは善政をひいて慕われたのですが、やがてコリントスからの使者が来てポリュポス王が亡くなったことを伝え、帰国するようにすすめます。
未だ母がいるから、と オイデープスは神託を盾に拒否しますが、その時に彼が捨て子であり、拾われた時の事情が明るみに出るのです。
アポローンの神託が既に実現していたことを知った母である王妃イオカステーは自殺し、オイデープス王は運命を呪って、自らの目を刳り抜いて盲目となり、放浪の旅に出た、と伝えられています。
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スフインクスと言えばエジプト。
なかでもギゼのピラミッド群の前に構えている巨大な姿は有名です。
この怪物の由来については、ここでは詳らかではありません・・・何しろこのシリーズは一応ギリシャに特化しているものですから。
そして此のオイデープスの伝説に登場するスフインクスが、物語上どのような姿かたちであったのか、も、よく知りません・・・・何しろ原典を読んだわけではないもので。
ただし、この画面上に現れたスフインクスは、由緒正しいギリシャのスフインクス像です。
デルフイはアポローンの神域内、高さ10mもあったという、ナクソスの柱の上に乗っていた古典期の有翼スフインクス像。
イメージとしては我々の持つエジプトのものと少しも変わりません。
建築や他の人物彫刻などでは両者は結構異なった印象を持つのに、此の怪物だけはまったく変わらないのは不思議な気がします。 あるいはエジプト直輸入の文化だったのかも。
ところでスフインクスの謎の正解は?
それは人間。 はじめ四つ足で這い、最後には杖をついて歩くもの、でした。
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このスフインクス像はデルフイ博物館に所蔵、展示されています。
柱頭部から上だけで、写真のように相当部分が後補されていますが、往時の雰囲気はしっかり伝わってくるものでした。
下に組み敷かれている犠牲者はまったくそれとは関係なく、ルーブルにあった多分ヘルムスアフロイデの像を、一寸したデジタル的悪戯で貼り込んで一体化させたものです。
そして背景の山はデルフォイ神域のバックに聳えるパルナッソスの山塊。
岩の色も空の色も此のシリーズ風に恣意的に改変していますが、山肌のテクスチュアに関しては全くこのような印象の山々なのです。
また此のシリーズの画は原則背景と彫刻の二枚のフイルムの合成ですが、この画だけは四つの元フイルムから成り立っています。
ではその四っめはどこに?
実はオイデープスがちゃんと画面に登場していて、今からスフインクスに会いにやってこようとしています。
山道の遙か向こう、生贄の指の下辺りに小さくちいさく其の姿が見える筈ですが・・・・


















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